この不況下、ほとんどの企業が業績に苦しむなか、EC業界には追い風が吹いています。
楽天の第三四半期の売上高は623億円で前縁同期比10%増。楽天市場事業は前年同期比27%増の158億円とこの不況下で躍進。また、富士経済が2008年12月25日に発表した物品通信販売に関する調査結果によると、総市場規模を2008年が4兆5238億円、2010年が4兆9444億円(対2008年比9.3%増)と予測。ネット通販市場は、パソコン向けが2008年に2兆1753億円、2010年に2兆5097億円(同15.4%増)、ケータイ向けが2008年に3165億円、2010年に4080億円(同28.9%増)と予想しており、パソコン&ケータイのECが通販市場全体をけん引すると予測しています。
不況によって消費が冷え込むとはいっても、まったく消費されないわけもなく。むしろこの不況は消費者の購入経路に大きな影響を与えていると見たほうが良さそうです。在宅時間の増大、購入検討時間の長期化はEC業界にとって確実にプラスに働いています。
その一方で、EC業界にとって今年は逆風ともいえるニュースから始まります。ちまたでもニュースになっている一般用医薬品のネット販売規制。2009年6月に施行される改正薬事法では、薬の成分が持つリスクに応じて一般医薬品を第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品と三つに分類します。これまでECではすべての一般用医薬品を販売してきましたが、厚生労働省が公布する省令によって大幅に規制される見通しとなりました。省令が正式公布されると、2009年6月の改正薬事法施行後はネットで販売できるのは第三類医薬品のみに限定されることになります。
これまで、厚生労働省とEC事業者はこのネット販売規制をめぐってバトルを繰り広げてきました。ただ、正直、消費者サイドの盛り上がりに欠けていました。インターネットで一般用医薬品が購入できること自体、知らないユーザーも多く、市場規模も数十億円と小さかったことが理由として挙げられます。もちろん、諸事情により店舗まで足を運べない消費者にとってネット販売規制は痛い問題ですし、ネットで一般医薬品を販売していた薬局や薬店の人たちにとっても即、売り上げ減に結びつく痛い問題でしょう。
ただ、ECを手がける企業が「うちはネットで薬なんて売ってないから」と対岸の火事としてとらえているのであれば、それは間違いです。今回の規制の対象はおおざっぱに言えば流通経路。例えば、こんにゃくゼリーで亡くなられたお年寄りがいて、こんにゃくゼリーの販売自体に規制がかかるという話ではありません。一般用医薬品のネット販売規制に置き換えると、そのこんにゃくゼリーを買ったのがコンビニであればコンビニでの販売を規制するし、スーパーで買ったのであればスーパーでの販売を規制するという話になります。もちろん、医薬品販売と一般食品を同等に扱うのは乱暴ですが、ネットで販売した商品に問題があったり、商品をもとに消費者が不利益を被ったりした場合、「インターネット」という流通経路自体が問題視される可能性が十分出てきたということです。
いっそうECの市場規模が大きくなるにつれて、さまざまな問題がすり替えられてインターネットに規制がかかる可能性は今後増えてくるでしょう。既得権益者であったり、圧力団体であったり。さまざまなプレイヤーがインターネット=悪という論調に持って行くかもしれません。そのためにも、EC事業者はこれまで以上に消費者に対して手厚いサポートを行い、インターネットだからリアル店舗と比べて問題があるといった論調を封じ込める用意をしておく必要が出てくるでしょう。
こうしたことを鑑みると、ネット通販は不況には強くても、決して安穏としていられる状況とも言えないですね。






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