ネットでどれだけ幸せを伝えられるか

 日経ビジネスオンライン「ジャパネットたかたの本当のすごさ」は、いつもジャパネットたかたを見て感じていたことがうまくまとまっていました。

 「大型液晶テレビ。画面が大きいんです。画面が大きいと、家族みんなで見られるんです。皆さん! これまで小さなテレビを別々の部屋で見ていませんでしたか? この大画面液晶テレビ! 大きいですから居間に置きますね。くっきりはっきり大型、大画面液晶(高田社長はあえて同じ言葉を何度も繰り返すのが特徴)。家族みんなで見たいですね。お父さんも、お母さんも、お子さんたちも、おじいちゃんも、おばあちゃんも。どうです。家族が一つになって、1つの液晶大画面を見る。昔みたいな家族だんらんが戻ってくるんです」(日経ビジネスオンラインより抜粋)

 モノを売るときにスペックよりイメージを訴求する。特にテレビ通販を見て実際に購入する層は年配層が多いはず。デジカメや大型テレビ、プリンターなど、いわゆるデジタル機器を売るときの”売り文句”はジャパネットたかたは非常に勉強になります。

 これまでインターネットでモノを購入する人というのはリテラシーの高い人たちという、漠然とした購入者像がありました。また、リテラシーの高い人たちも、テレビや雑誌といった従来のマスメディアによって購入意欲を刺激され、それから価格比較サイトなどを使って料金を調べるという行動が一般的だったと思います。

 いま、ネットのメディアで起きていること。それは、ネットでモノやサービスを購入した人たちは、いったいどこで触発されてそこに訪れ、購入したのかの把握。これをネットマーケティングの世界では「ポストインプレッション効果」といいます。つまり、購入者は直前にクリックしたバナー広告に触発されて購入されたわけではなく、もっと以前から様々な広告で触発されており、たまたま最終的にそのバナー広告をクリックして購入に至っただけという考え方です。商品によって異なると思いますが、商品購入までに検討期間があるのは至極当然のこと。実際にはこういう購買活動をしている消費者のほうが多いはずです。

 ポストインプレッション効果はCookieと呼ばれるユーザーの識別技術で把握できます。こうしたポストインプレッション効果の計測が進めば、広告主はより正確なメディア選定が可能になります。つまり、ポストインプレッション効果を計測していなければ、購入者がたまたま最後にクリックしたバナー広告を掲載しているメディアの評価が高くなり、広告予算の配分を高くするなどの施策を取りかねませんが、計測していれば本当の意味でそのユーザーが購入検討を始めた、購入意欲を刺激されたメディアを把握できるわけです。

 問題はその先です。購入意欲を刺激するネット上のメディア。どれだけあるのでしょうか。個人的にはこうした刺激力を持っているのはまだまだネット上のメディアよりも、テレビや雑誌といった旧来のメディアのような気がします。テレビで取り上げられたお店、ドラマで気に入った女優が身につけている小物、雑誌の著名なモデルが着ている服、等々。

 ただ、既にネットではリテラシーの高い人だけでなく、普通の人でもモノやサービスを購入する時代です。本当の意味でポストインプレッション効果を測定するためには、ネット上にもっと購入意欲を刺激するメディアが存在すべきなのです。というのも、テレビや雑誌のポストインプレッション効果を正確に把握するのは難しいからです。QRコードや特定のURLを利用すればある程度、こうした旧来メディアからの流入数は把握できますが、そのユーザーをネット上でも引き続き識別して動きを把握するのは現時点では技術的に難しいでしょう。

 ジャパネットたかたのように、「ああ、それいいかも」「家族で囲んでテレビを見るっていいな」といった、購入後の幸せなイメージを想起させるインターネット上のメディア。ネット上のメディアは、どうしてもスペック比較や価格比較に陥りがちですが、今後はこうした消費者の態度を変容させられるメディアを作っていく必要があると思っています。

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