人体通信でクチコミの新たな流通経路が生まれるか

 日立製作所、NTTコミュニケーションズ、美和ロックの三社が人体やモノの表面に発生する電界を利用した通信技術「RedTacton(レッドタクトン)」を活用した体質管理システムを共同開発したそうです。RedTactonカードキーを携帯しているユーザーがアンテナを内蔵したドアノブを握ったり、アンテナ内蔵の廊下を歩いたりといった意識しない接触をすることで個人を識別して電気錠の解錠をするそうです。

 人体通信として初めての商用化ではないでしょうか。人体通信自体はただの通信手段の一つですが、夢があります。基本的なコミュニケーションの動作、つまり握手でも通信が可能になります。個人的にはクチコミの新しい流通経路が生まれるのではないかと期待しています。

 現在、インターネット上において可視化できるクチコミは、主に以下のようなものがあります。

1.掲示板やコミュニティなど共通の場において書き込みする
2.自らのブログやホームページを立ち上げ、他人のブログやニュースサイトなどから情報を取得して投稿する
3.自らのブログやホームページは持たなくても、他人のブログどに書き込みする

 もちろん「クチコミ」本来の意味を考えると、「あのブログに書いてあったことだけど」といった口頭でのクチコミも含まれるべきですが、これは可視化することができません。

 同じように可視化しづらいものが、ケータイの赤外線通信です。若年層を中心に赤外線通信の利用は広がっています。主に多いのが電話帳データのやり取りですが、画像をはじめ様々なデータをピア・ツー・ピアでやり取りしていますが、これの実態はつかめませんし、そこでやり取りするデータの分析も現時点では不可能です。このピア・ツー・ピアのクチコミを促進させる流通経路として人体通信に期待しています。

 実現化については数多くの課題をクリアしていく必要があるでしょう。手が触れただけで誰とでも通信し始めたら問題ですし。ただ、赤外線にしろ、人体通信にしろ、リアルなクチコミの流通経路が増えるということは、非常に重要な要素を持ちます。

 リアルのクチコミは、インターネットにおけるクチコミと比べて普及速度は速くありません。基本的に1対1で広がりますから、1対他で広がっていくインターネットより遅いのは明白です。ただ、1体1のクチコミの場合はお互いが知っている、もしくはお互いが顔を見える関係で広がります。例えば家族や友人、会社の同僚、先輩・後輩など、同じリアルなコミュニティで生活している人同士で広がっていきます。そのコミュニティは家族の場合はアイデンティティ、友人であれば嗜好性や地域性を帯びたクチコミとなります。その分、意志決定におよぼす影響力は強くなります。

 マウスtoマウスのクチコミは分析が難しくても、赤外線や人体通信で広がるクチコミはもしかしたら将来、ログ解析が可能になるかもしれません。その際にはマーケティング上、大変貴重なデータになります。

 いずれにせよ、人体通信は夢のある話です。入室管理システムというお堅い部分からのスタートですが、もっと身近な情報のやり取りができるようになれる時代を願っています。

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