
東芝が秋葉原で展開したYouTubeとデジタルサイネージを組み合わせたプロモーション
東芝が自身、「世界初のエンゲージメントマーケティング企画」とうたうイベントを3月20日、21日、22日の3連休、秋葉原のヨドバシカメラで開催していました。私も世界初という言葉に惹かれて久しぶりの秋葉原に行ってきました。
このイベントに関する感想は後述するとして、まずは概要から説明したいと思います。このイベントは東芝のイメージキャラクター「ぱらちゃん」を使ったゲームに参加することで東芝に対するファン意識を高めることを目的としています。ゲーム名は「ぱらちゃん探しゲーム」というもので、全参加者6人がペンキで用意されたマス目を塗りあい、たくさんのマス目を塗った人が勝ちというもの。マス目に合計3ひき?のぱらちゃんが隠れていて、それを見つけたほうが有利になるという要素も含まれています。
何が世界初かというと、このぱらちゃん探しゲームはデジタルサイネージとYouTube上のアプリケーションが連動しているという点。デジタルサイネージは電子看板とも言われますが、屋内外に設置された液晶ディスプレイのこと。通常のアナログの看板と比べて動画を流せるほか、ネットワークでつながっているため、表現力が高く、かつ機動力のある広告媒体として注目を集めています。今回のイベントでは、このデジタルサイネージをゲーム画面として利用し、そこに表示した電話番号にかけたケータイでゲームを操作できるようにしました。
分かりにくいかもしれませんが、デジタルサイネージの画面にゲーム参加用の電話番号を03-XXXX-XXXXと表示します。これに電話をかけたユーザーは参加登録者として受け付けられ、下2桁が識別IDとして表示されます。あとは電話を通話状態のまま、「2」(上)「4」(左)「5」(決定)「6」(右)「8」(下)のボタンを使ってゲームを操作します。おそらくサーバー側ではプッシュ回線の音によってゲームに指令を送り、瞬時にデジタルサイネージの画面上に表示させる仕組みが用意されているのでしょう。これによって目の前の大画面のデジタルサイネージに映し出されたゲームを自分のケータイで操作するという新しい体験ができるわけです。しかも、そのゲームにはYouTubeからも同時に参加できます。画面上では「YT1」といった感じで表示されます。
あらゆる意味で初体験の機会をユーザーに提供し、東芝に対するロイヤルティを上げようとしたのでしょう。しかし、この企画、客観的に見て正直、厳しい状況でした。
まず、仕組みが非常に凝っているにもかかわらず、それが十分に伝わらないこと。デジタルサイネージをケータイで操作できるだけでもすごい仕組みなのですが、YouTubeからも同時に対戦できる。この連動感がまったくリアルイベントでは伝わりませんでした。どこかで操作している人がいるのでしょうが、見えないだけによくわからない「YT1」「YT2」というプレイヤー名しか見えません。これだとコンピューター相手に戦うファミコンで表示される「COM1」「COM2」となんら変わらない。イベント会場でパソコンを用意し、そのうえで、ケータイで参加したい人、YouTubeから参加したい人という形で誘導を図るべきでした。
次に、参加する人が少ないこと、もしくは参加していることが分かる人が少ないことです。一生懸命、ゲーム参加を促すのですが、なかなか参加しようという人は見当たりませんでした。私もゲームの内容を理解するまでに時間がかかり、参加そのものも制限時間内が短いため非常にバタバタしてしまいました。何度も繰り返し仕切りなおしされるので何度目かには慣れてきましたが、ときには電話しても話中だったり、操作が思うように動かなかったりとトラブルが多発していました(世界初の取り組みですから、システム上のトラブルは十分理解できますが)。さらに、電話番号がフリーダイヤルではない点も問題でした。うまく動かない、なのに電話代だけはかかってしまい、最初はなんだか損だけさせられて気分が悪くなってしまいました。これは東芝にとっても逆効果。その辺も含めて、もう少しオペレーションの部分を徹底すべきではないかと思いました。
また、これは後から感じたのですが、あまりに大きなデジタルサイネージを使うと、どこからでも参加できてしまうため、人だかりができません。そのため、盛り上がりに欠け、「お、何をしているんだろう?」という興味本位の人が集まるという好循環が生まれにくい。盛り上がり感の演出という点は今後の課題かもしれません。
総合的に見ると、世界初の仕組みを見せたい、けどなかなか伝わりにくい、よってそこに手間取り本来の東芝のメッセージを伝えるところまではいたってない、そういう印象が残るイベントでした。ただ、こうした取り組みは誰かが取り組んで、そして問題点も含めてさまざまな課題を顕在化させていく必要があります。そうした意味では個人的にですが、東芝の果敢な挑戦を評価したいと思います。
ぜひ第二段、第三弾を期待しています。






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