エニグモの「コルシカ」は暴走?確信犯?

 エニグモは2009年10月7日、ネット上で雑誌を閲覧できるサービス「Corseka(コルシカ)」を開始しました。ユーザーは250誌以上の雑誌に対し、料金を支払えば即、Flashで記事を閲覧できます。しかし、問題はエニグモが約120の出版社の1社とも何ら契約を結んでいません。

 エニグモの暴走とも言える「コルシカ」。詳細については同社のリリースをご覧ください。同社の取り組みは、黒か白かで言えば現時点で明確に黒と言わざるを得ません。なぜ黒かについては、栗ブログ(仮)さんの「雑誌スキャン閲覧サービス「コルシカ」は徒花に終わりそうだが」が分かりやすくまとまっています。

 当然、エニグモは許諾をとらずにサービスを開始したのですから、ある程度の反発は予測していたと見たほうがいいでしょう。広告代理店大手の博報堂出身者で設立された同社。権利関係について無知とは考えられません。とはいえ、出版社が斜陽産業であることは明白。雑誌の売り上げに結びつくのであれば、事後承諾とはいえ許諾を与える出版社が出てくるのではないか。そういう読みがあったのではないでしょうか。

 ただ、エニグモとしてもちょっと読みが甘かったかもしれません。集英社、講談社、小学館をはじめ大手出版社が軒並み名を連ねる日本雑誌協会は早速、2009年10月8日、サービスの中止要請を出しています(NIKKEI NET:日本雑誌協会、エニグモにネット雑誌閲覧サービスの中止要請)。特に、日本雑誌協会は2009年8月5日に「雑誌コンテンツデジタル推進コンソーシアム」を設立したばかり。IT企業、携帯電話事業者、広告代理店、ポータルサイト運営企業など35社を巻き込んで雑誌のデジタル化の可能性を探り、2011年をめどに事業化を目指すとしていました。タイミングが悪いのか、先手を打ったのか。いずれにせよ、コンソーシアム委員長をつとめる集英社の大久保徹也氏は怒り心頭でしょう。

 日本雑誌協会はいわば出版社の重鎮たちで構成されている組織。敵に回したときの怖さはおそらく想像を絶するものがあるでしょう。お詫びでは済まないこの状況は、エニグモも想定外だった様子。サービスを発表した翌日は殻に閉じこもり、今後の対策を練っていたようです。

 本来、デジタルデータを購入したら雑誌もその分だけ購入しているというのがエニグモの主張ですが、既に購入者の中には在庫切れと表示されるケースがあるとのこと。大義名分を失い、落としどころの計算も誤ったエニグモ。既に利益を得ているわけですから、損害賠償請求まで発展する可能性もあるでしょう。また、取次は中堅の太洋社という噂が流れています。取次も巻き込んだ騒動まで発展するのかも注目する必要があります。

 そもそも確信犯は自分のやっていることが正義で周囲が間違いだと信じて行うこと。本来の意味で突き進んでいればそれは暴走ではなく確信犯。悪いことと分かってやってれば、確信犯ではなく暴走。エニグモが今後、どのように身を振るのか、出版社の動向も踏まえながら見ておきましょう。

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