フジテレビは2009年10月13日(22:10~)より、関西テレビ制作のドラマ「リアル・クローズ」の放映を開始します。放送と同時に俳優が身につけている服やアクセサリーをネット経由で購入できる、いわゆるEC連動型番組ですが、公共電波を独占的、排他的に利用しているテレビ局のあこぎな商売として非難する声も上がっています。(参照: 「主役が着た服、ドラマHPで即通販 番組?広告?境界は」)
リアル・クローズは電子番組表Gガイドを提供するインタラクティブ・プログラム・ガイドが開発したシステム「オンエアリンク」利用の第一号。出演者が着用した衣装やアクセサリーなどのアイテムや商品がテレビ番組のストーリーに連動して、ECサイトにアップされ、オンタイムで同じ商品が購入できるシステムです。出演者が着用している商品情報と番組メタデータをデータベース上でひも付け、タイムコードに合わせて配信・管理できます。
出演者が広告主の商品を身につけたり、利用したりする手法は「プロダクトプレースメント」と呼ばれ、特に映画業界では一般的な手法となっています。1970年代後半から映画では取り入れられ、代表的なものには007シリーズ主役のジェームズ・ボンドが乗る「BMW」などが同手法を用いています。要はコンテンツの中に広告商品を取り入れるというもの。ピンとこない人にぜひ見ていただきたいのは1998年公開となった「トゥルーマン・ショー」。この映画はヒューマンドラマとして評価を受ける一方で、プロダクトプレースメント自体がテーマになっており、同手法を理解するのによく引用される映画です。
フジテレビが放映する「リアル・クローズ」も香里奈さんや黒木瞳さんが身につける服やアクセサリーが広告商品となっており、番組ホームページから購入できるわけですから、一種のプロダクトプレースメントと言えるでしょう。
手法として古くから存在するプロダクトプレースメントですが、半面、常に批判の声もつきまといます。
理由の1つは広告とコンテンツの境界線が崩れることによる、コンテンツへの信頼度の低下です。今回の取り組みで言えば、ドラマ自体、特に信頼度は不要ですが、このような手法を全面的に採用するテレビ局への信頼度が低下するのではと危惧する声が出てくるのは当然でしょう。(とはいえ、新聞を並べてニュースを引用することで情報番組を制作しているテレビ局に信頼度も何もあったものでもないのでしょうが)。ステルスではない分だけ今回の取り組みはまだましかもしれません。
もう1つは、冒頭でも触れたようにテレビ局が公共電波を独占的、かつ排他的に利用している企業だからです。広告収入の激減に頭を悩ますテレビ局からすれば新しい収入源を確保したいのは当然でしょう。ただ、参入障壁の極めて高い公共電波。同じことをテレビ局以外の企業には真似できません。
そして個人的にはプロダクトプレースメントが過去、ブランディングの手法として使われていたにもかかわらず、ネットの登場によってすぐに購入できる、つまり販促的側面を持ち合わせ始めたのも一因ではないかと見ています。ブランディングであればまだしも、販促となると、背景で動くお金が見え隠れし、視聴者にいやらしい印象を与えてしまいます。見方を変えれば、テレビ局が落ち込む広告宣伝費ではなく販促費を狙いにいっているとも言えます。
最近でこそ状況は少しずつ変わりつつありますが、第一線で活躍する俳優は企業のテレビCMには登場しても、通販番組に登場しませんでした。今回のリアル・クローズは香里奈さんや黒木瞳さんがドラマ仕立ての通販番組に登場するようなもの。色がつくのを極端に嫌う俳優に対する出演料は通常より高く設定しなければ、事務所側も納得できないはず。とはいえ、番組制作費に下げ圧力がかかっていますから、断り切れない事情もあるでしょう。こうした手法がドラマで普及し始めれば、俳優の賞味期限は加速度的に早まっていくことだけは確かです。







No Comments